中小企業エレキ技術者のブログ

産業用途向けカメラメーカーのエレキ技術者が綴る日常。ソフト(ScoutChcker)も作ってます!

生涯一製品

前居た素材メーカーの話

素材系の業種は何でもスパンが長い。

例えば、一製品を開発完了するまでに数十年と掛かる。

例えばその製品が

ある厳しい使用環境に耐えられるかどうか

どうやって調べるんでしょう。

いや、研究所では加速実験と言って

何倍の温度や湿度で何時間耐えたら

何年に相当って方法を使うのですが

実際は何十年使ってみないと

正確なことは分からない。

また、研究所レベルで良さそうな素材を作ったとして

じゃ、それを製品にするとなって

今度はもっと大判で作ったら

クラックが入りまくったとかしょっちゅう。

製品レベルになると

1回の試作も簡単に数週間掛かる。

量産化しても、なぜか

失敗が続くこともある。

手離れも決して良くない。

こういう工程を経て

製品が完成していく。

研究所でよく噂されてたのが

あいつはもうあのテーマに新卒から十年関与してる。

量産化のタイミングまでやると製品と一緒に

工場に配属されるだろう。と

何しろ、それだけ関わるとその製品については

社内で誰よりも詳しい。

当然量産時の製造工程でも欠かせない存在になる。

工場に行くと結構元研究所の人が居て

懐かしそうに話掛けてくれる。

新卒から作り始めて

定年で開発完了なんてことも。

なんだか嘘みたいな話ですが

生涯掛けて1製品って結構当たり前に

横行してた。

若い人たちの間では同じテーマにずっと

関与することを嫌う傾向が強かったw

一方で、一つのヒット商品を開発出来ると

もう、定年まで安定が保証されたようなもの。

ぼくが配属されたチームのボスは

その会社でも稀に見るヒット商品を開発した人で

その素材の第一人者。

だいぶいい年でしたが

社長ともツーカーだったって話。

我々がその改良を担当して

いろいろやってもいい結果がでなくて

結局その人から、これでやってみ

って言われて、やって見たらうまく行く。

ああ、この人には勝てない。

それが素直な感想でした。

経験に勝るモノが無いので

下克上はまずあり得ないですね。

そして、こうやって出来た製品は

同じチームでも真似出来ないので

そう簡単に他所に真似されることもない。

要は、その業種のスパンによっては

開発から量産までのスパンが数十年のモノもあれば

いいところ数ヶ月のモノもあり。

安定を求めるなら長い方。

変化や新しいモノが好きなら短い方

がオススメだと思います。

これから開発に携わりたい人には

是非その業界の開発スパンというものも

検討材料にして貰いたいです。

質問や疑問、気になることがありましたら

sugaular@gmail.comにメールください。

全力でお答えします!

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